令和6年能登半島地震に当たっての緊急会長談話
この度の令和6年能登半島地震(以下「本震災」といいます。)で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。最大震度7、マグニチュード7.6という大規模な地震であり、建物の倒壊、火災、津波、液状化現象等により、多数の死傷者が発生していると報じられています。政府も非常災害対策本部を設置して、対策を進めており、被災者の救助、生活支援、インフラの復旧等が速やかに進むことを期待します。
当連合会としても、本日、本震災に関し災害対策本部を設置しました。阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、平成19年新潟県中越沖地震、東日本大震災、平成28年熊本地震など、過去の震災における取組と同様に、各地の弁護士会、さらには各自治体・日本司法支援センター(法テラス)など関係諸機関と連携し、主として被災者を対象とする無料法律相談を実施してその生活不安の除去に努めるとともに、被災者支援のための立法措置や行政による法令の適切な運用を働きかけていく所存です。
本震災は、令和5年奥能登地震の被災地に再び被害を生じさせており、通常の被災者支援以上に、丁寧できめ細やかな支援活動が必要です。建物倒壊等により、避難所での生活が長期化する可能性が高く、災害関連死の発生も心配されるところです。冬季であり、物資も不足している状況においては、建設型仮設住宅の提供には相当の困難が予想され、国や被災自治体に対しては、みなし仮設住宅を中心とした、速やかな仮設住宅の提供を要望します。地域においてみなし仮設住宅の提供が難しい場合には、新潟県中越地震の際、山古志村で実施された全村避難も参考に、広域避難についても検討すべきです。
過去の災害においては、罹災証明書の発行を待つことにより必要な支援が適時に行われず、更に被害が広がってしまった例も見受けられました。本震災においては、速やかに罹災証明書を発行するための工夫を行うとともに、罹災証明書の発行を待つことなく災害関連死を生まない施策を可及的速やかに実施すべきです。
また、被災者が、誰一人取り残されることなく、生活の再建を実現するために、各被災地において災害ケースマネジメントが実施されることを強く望みます。私たち弁護士も、地元の行政、支援団体、支援者らと協力し、被災者一人ひとりの生活再建に向けた支援の担い手の一角として活動して参ります。
本震災は、石川県能登地方を中心としていますが、福井県、富山県、新潟県等の周辺自治体においても大きな被害が生じています。死者、負傷者、避難者等が多数発生し、建物の倒壊等も極めて多数であり、交通やライフラインが広範囲にわたって途絶され、地域全体の日常生活や業務環境の破壊が発生しています。政府は、速やかに、被災者の権利・利益等を守るべく、本震災を特定非常災害及び総合法律支援法第30条第1項第4号に規定する非常災害に指定されるよう要望します。
本震災の被災地は、いわゆる司法過疎地を多く含んでいます。当連合会として、現地の弁護士会及び弁護士会連合会と協力するとともに、これらの地域の被災者にも十分な法的支援が行きわたるような体制拡充に努めます。
既に政府、自治体をはじめとする関係機関において被災者支援活動が開始されているところ、当連合会も連携の上、被災者支援、復旧・復興に向けて、全力を尽くす決意です。
2024年(令和6年)1月5日
日本弁護士連合会
会長 小林 元治