霊感商法等の被害の救済及び防止についての実効性ある法整備を求める会長声明


本年11月18日に、政府は、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部改正法案の閣議決定を行い、さらに本年12月1日には、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(以下「新法案」という。)の閣議決定を行った。いずれも旧統一教会(現在の法人名は「世界平和統一家庭連合」)について社会的に指摘されている問題を契機に、その被害の救済及び防止を目的とするものである。


当連合会は、本年9月5日から日弁連フリーダイヤル及びオンラインでのarrow_blue_1.gif無料相談受付を開始し、全国の弁護士会及び相談担当弁護士の協力を得て、霊感商法等の被害に関する市民からの法律相談への対応を実施してきた。その上で、本年11月29日に「arrow_blue_1.gif霊感商法等の被害に関する法律相談 事例収集(第1次集計報告)」を公表した。この集計結果によれば、本年10月27日までに相談結果報告が完了している382件中、旧統一教会に関する相談が約8割を占めており、親族からの相談も約5割あった。また、1000万円以上の財産的被害を申告する相談が4割を超えており、「旧統一教会であることを隠していた可能性のある勧誘」も相当数あった。これらからも、旧統一教会による深刻な被害の実態を窺うことができ、その被害の救済及び防止を図ることが急務であることは明らかである。


そのため、本臨時国会において、消費者契約法等の改正や新法制定による法整備を早急に行うことは極めて重要である。


もっとも、抜本的に被害の救済及び防止を図るという目的からすると、閣議決定された各法案には様々な課題がある。


例えば、消費者契約法等の改正法案については、「困惑」「不安」を取消要件とする特定の不当な勧誘類型の見直しにとどまり、さらに「必要不可欠」との要件も加えられて、救済可能な範囲が限定的なものとなっている。新法案については、対象が法人等への寄附のみに絞られすぎており、また、子や配偶者が婚姻費用・養育費等を保全するための特例として規定された債権者代位権行使の要件や射程範囲も不明確であり、家族の被害、特にいわゆる宗教二世の被害の救済を図ることができないなどの重大な問題点が指摘されている。


本臨時国会の会期は、本年12月10日までとされているが、当連合会は、霊感商法等の被害の救済及び防止の観点から、残された会期において与野党が協力して議論を尽くし、関係省庁とも連携の上で、必要な部分については見直しを行い、真に実効性ある法整備がされることを強く求める。



2022年(令和4年)12月2日

日本弁護士連合会
会長 小林 元治