米国の連邦レベルでの死刑の執行停止を受け、あらためて日本での死刑制度の廃止を求める会長談話


米国のガーランド司法長官は、本年7月1日、連邦レベルでの死刑の執行を一時的に停止するとの通知を公表した。


米国では、現在も一部の州で死刑が執行されているものの、連邦レベルでの死刑の執行は20年近くにわたって行われていなかった。ところが、トランプ政権は、2019年7月以降、死刑の執行に関する諸規則に変更を加えた上、変更後の規則に基づいて、退陣の間際の本年1月までの半年間に合計13名の確定死刑囚に対して死刑を執行した。この大量執行に対しては、米国内でも批判が高まっていた。


他方、バイデン大統領は、選挙中から連邦レベルでの死刑廃止を公約に掲げていた。前大統領時代に変更された諸規則の見直しを行い、その作業が終わるまでの間は死刑の執行を停止するというのが今回の通知の内容である。


当連合会は、2016年(平成28年)の人権擁護大会において「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、以来、死刑制度の廃止に向けた取組みを続けている。死刑制度が抱える諸問題については、すでに当連合会が繰り返し指摘してきたところである。OECDに加盟する38か国のうち現在も死刑を執行しているのは日本と米国の一部の州だけになっている。日本はこれまで、国際人権(自由権)規約委員会等から、世論調査の結果にかかわらず死刑制度の廃止を考慮するよう何度も勧告を受けている。このように、死刑制度の廃止は世界的な潮流となっているのであって、日本においても、もはや、このまま死刑制度を維持し続けていくことは許されない。


死刑の執行停止は、死刑制度の廃止に至る過程で表明されることが多い。当連合会は、今回の通知を前向きに受け止め、日本政府に対し、死刑制度の廃止に向けた具体的な取組みを進めるようあらためて求めるものである。



 2021年(令和3年)7月16 日

日本弁護士連合会
会長 荒   中