「核兵器禁止条約」の発効を歓迎する会長声明


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本日、全世界50か国・地域の批准・加入を経て、ついに核兵器禁止条約(以下「本条約」という。)が発効した。


第二次世界大戦後、繰り返し核兵器の廃絶を求めてきた当連合会としても、本条約の発効を心から歓迎する。


また、発効に至るまで、本条約の交渉と批准の促進に大きな役割を果たしてきた全ての国々及び市民社会の活動や、広島及び長崎の被ばく者並びに世界中の核実験や核開発の被害者の方々の粘り強い活動に改めて敬意を表する。


本条約は、核兵器の使用が破局的・壊滅的な人道上の被害をもたらすことを国際法としての条約において確認したものであるとともに、核兵器の全面的廃絶を目指すその第一歩として、核兵器の使用が「国際法上違法であること」や「禁止されるべきこと」を歴史に刻印する初めての条約である。


過去の人道上の悲惨な被害を出発点に、核兵器の使用や開発等について違法であることの確認と禁止を求めてきた「人道的アプローチ」に基づく今般の本条約発効は、核廃絶のためのゴールではなく、今後の廃絶に向けた出発点に他ならない。


今後、本条約は、条約が対象とする禁止行為の実態についてのあらゆる情報公開を求める根拠となる。さらに、本条約によって禁止され、違法とされる全ての行為に対し、その当事者に説明する責任を強く求めていく根拠ともなる。たとえ「投資」行為や威嚇を目的とする「安全保障戦略」であろうとも、それを実行する当事者は、その説明責任を果たさなければならないのであり、まさに核兵器禁止という新たな国際法秩序が現出したのである。


当連合会は、日本国憲法第9条が第二次世界大戦の深い反省から生まれたのと同様に、核兵器廃絶も「二度と過ちを繰り返さない」という人類が共通に有するべき反省から生まれていることを決して忘れない。


違法行為の禁止を求める全ての人々、市民社会、そして政府とともに、当連合会は、これからも「核のない世界」のために、あらゆる努力を傾けることを改めて誓い、同条約の発効を歓迎する。



 2021年(令和3年)1月22日

日本弁護士連合会
会長 荒   中