改めて、いわゆる谷間世代に対する国による是正措置の実現を目指す会長声明



当連合会は、2018年5月25日に高松市で開催された第69回定期総会において、「安心して修習に専念するための環境整備を更に進め、いわゆる谷間世代に対する施策を早期に実現することに力を尽くす決議」(以下「2018年定期総会決議」という。)を採択し、司法修習生の修習期間中に給与及び修習給付金の支給を受けられなかった、いわゆる谷間世代の者がその経済的負担や不平等感によって法曹としての活動に支障が生ずることがないよう、力を尽くすことを決議している。2020年度会務執行方針においても、上記決議に基づき、いわゆる谷間世代の会員に対する給付金支給の会内施策を着実に実施するとともに、国による是正措置の実現を目指していく方針である。


本日開催された第71回定期総会では、一部の会員から発議された議案が否決された。一部の会員により発議された当該議案は、いわゆる谷間世代の経済的負担や不平等感の解消を動機とするものと推測され、基本的には2018年定期総会決議と同じ方向性の「思い」から提案されたものと理解されたが、その手法として、最高裁判所に対して修習貸与金の返還請求の停止を要求するという内容のものであった。そのため、当連合会としては、最高裁判所や法務省の理解を前提に、世論の支持を幅広く得て、国による是正措置の実現を目指そうとする2018年定期総会決議と相容れないものとして、否決されるに至ったと理解している。


当連合会は、いわゆる谷間世代に対する国による是正措置の実現を当連合会の重要課題の一つとして掲げており、引き続き、具体的な政策の検討を試み、法曹三者の協議、さらに政府や国会議員との対話を通じて、その実現を目指していく所存である。





 2020年(令和2年)9月4日

日本弁護士連合会
会長 荒   中