新型コロナウイルス感染拡大に伴う家庭内被害―DV・ 虐待―の増加・悪化防止に関する会長声明



世界中で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、我が国でも日々感染拡大の一途をたどり、本年4月7日には7都府県を対象とする緊急事態宣言が公示され、同16日には対象区域を全都道府県とするなどの変更が公示されるに至った。


外出自粛や経済状態の悪化の中で、ドメスティック・バイオレンス(DV)や家庭内における虐待の増加・悪化が懸念され、本年4月5日にはアントニオ・グテーレス国連事務総長がDV増加に対するicon_page.png警告の声明(内閣府男女共同参画局ウェブサイトへのリンク・英語原文はこちら)を発表した。報道等によれば、各国でも、DVや児童虐待の増加・悪化が現実化しており、フランスではパリ市内のシェルター増設を決め、また担当大臣が声明を出し被害者支援に取り組む姿勢を明らかにし、オーストラリアではDV対策資金として1億5,000万豪ドルを投入する旨公表されるなど、対策が打ち出されている。


我が国においても、阪神・淡路大震災や東日本大震災という災害時においてDVや家庭内における虐待の増加・悪化があり、深刻な問題となったことが内閣府男女共同参画局等の調査からうかがえ、緊急事態宣言発令期間中においても同様の問題が懸念されている。政府は、同宣言発令期間中のDVの相談と保護業務に力を入れ対策を打ち出しているところではあるが、避難先の増設、被害者支援等の実現のための財源の確保、外出自粛要請下でも必要な一時保護の躊躇なき実現と避難先の確保、被害実態の積極的な把握、避難先での感染防止の徹底、避難後の生活支援など対応すべき課題はなお多い。


当連合会としても、全国統一ダイヤルやオンラインで申込受付を行う「新型コロナウイルス関連法律相談」を本年4月20日から実施する予定であり、新型コロナウイルス感染拡大下におけるDVや家庭内における虐待の相談に対応する。


当連合会は、今後も政府の動向を注視しつつ、DVと家庭内における虐待の問題に取り組む所存である。



 2020年(令和2年)4月17日

日本弁護士連合会
会長 荒   中