民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議取りまとめに関する会長談話




本日、民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議(以下「連絡会議」という。)において、「民事司法制度改革の推進について」と題する取りまとめ(以下「本取りまとめ」という。)がなされた。連絡会議は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)に、「司法制度改革推進法の理念に則り、総合法律支援など利用しやすく頼りがいのある司法の確保、法教育の推進などを含む民事司法改革を政府を挙げて推進する」ことが盛り込まれたことを受け、2019年(平成31年)4月12日開催の第1回会議から約1年間にわたって関係行政機関等の連携・協力の下、民事司法制度改革に向けた喫緊の課題を整理し、その対応を検討してきた。当連合会も、最高裁判所とともにオブザーバーとして、連絡会議に参加してきたところである。


本取りまとめにおいては、国際化・デジタル化社会の一層の進展を見据え、民事裁判手続のIT化、知財司法の紛争解決機能強化、国際仲裁の活性化などに加え、在留外国人の司法アクセスの確保、中小企業の海外展開支援、国際法務で活躍できる人材の育成などの民事司法制度の国際化に関する方策が盛り込まれ、民事司法制度の重要課題について広範にわたって今後の方向と具体的政策が示された。


また、現在、当連合会、最高裁、法務省による「民事司法の在り方に関する法曹三者連絡協議会」において検討が進められている情報・証拠収集制度の充実及び家事事件に関しても、引き続き検討することの必要性・重要性が指摘されている。


このように、本取りまとめは、現下の民事司法制度の喫緊の課題解決について関係府省庁を横断する具体的な政策を示したものであり、改革に向けた大きな第一歩となるものである。本取りまとめにおいて示された各種の政策を着実に実現していくためには、国は相応の予算措置を講じること、及び示された理念に沿った改革が実現されるよう連絡会議はもとより法曹三者や関係各機関が改革への確固たる信念に基づき努力・協力をすることが必要不可欠である。


当連合会は、これまでの民事司法改革に関する意見・政策提言や本取りまとめを踏まえ、改革の実現の進捗を検証するとともに、残された課題を鋭意検討し、民事司法の担い手である会員の理解と協力を得ながら、より良い民事司法制度の構築を目指して、不断の改革・改善に積極的に取り組んでいく所存である。



 2020年(令和2年)3月10日

日本弁護士連合会
会長 菊地 裕太郎