新型コロナウイルスの感染拡大に当たっての会長談話




今般、中華人民共和国の武漢市を中心に感染が拡大し、猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)は、今や世界各地に拡散され、人的被害をもたらしている状況であるが、日本国内においても、本年3月5日正午時点で判明している感染者数は318名(厚生労働省ホームページより。このほかにクルーズ船乗員・乗客約700名の感染者が公表されている。)に上っている。


厚生労働省は、本年2月25日付けで「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表し、イベント等の開催について、感染拡大防止の観点から、開催の必要性を改めて検討するよう要望するとともに、同月26日には、多数の人が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等について、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間の中止、延期又は規模縮小等の対応の要請を行った。


さらに、文部科学省は、同月28日には、全国の小・中学校や高等学校等に本年3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう各都道府県の教育委員会等を通じて要請を行った。


こうした政府の要請等及び感染拡大への懸念の強まりを受けて、社会的な影響が各所に生じ、それに伴って各種の法的対応が必要な事例が報告され始めている。例えば、イベントの中止や旅行のキャンセル等を巡る法的対応、品薄が続いているマスクの不適切な販売方法及び悪質な転売のトラブル等が報じられている。また、政府の要請を受けて休校となった小・中・高校生等の教育を受ける権利に対する配慮、これらの子の保護者が事実上就業できないことによる労務問題、中小企業・小規模事業者における資金繰りへの影響、下請事業者への取引上のしわ寄せ等の問題が報じられている。


こうした状況を踏まえ、当連合会は、全国各地の弁護士会とも連携を図りつつ、新型コロナウイルスの感染拡大に起因して生じる各種の法的課題に対処することができるように努めていく所存である。



 2020年(令和2年)3月6日

日本弁護士連合会
会長 菊地 裕太郎