国連強制失踪委員会の総括所見に対する会長声明

国連の強制失踪委員会(以下「委員会」という。)は、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約の実施状況に関する第1回日本政府報告に対し、2018年11月19日に42項目に及ぶ懸念を表明し、又は勧告を行う総括所見を発表した。


委員会は、当連合会が報告書において指摘した課題のうち、個人通報制度については、早期に受諾することを求め(10項)、「慰安婦」問題については、被害者の正確な人数の統計、すべての事例についての遅滞なき徹底した公平な調査、情報開示、被害者への適切な補償、被害者の真実を知る権利の保障等について勧告を行った(26項)。接見交通権については、自由を剥奪された者の、任意の者との通信の制限及び家族や任意の者との接見の制限等について懸念を表明し(31項)、自由を剥奪された直後に弁護士にアクセスできるようにすること等について勧告を行った(32項)。そして、刑事施設や医療機関、入国管理局施設等において、自由の剥奪の合法性を争うための、利用可能な救済手段が存在しないことについても懸念を表明した(33項)。


その上で、委員会は、勧告した事項のうち、上記32項等について、2019年11月16日までに勧告の履行に関する情報を提供するように求めた。


日本政府は、条約批准国の政府として、委員会が表明したこれらの懸念や勧告を真摯に受け止め、また、市民社会との対話を行うべきである。


当連合会もまた、日本政府との建設的対話を継続し、人権課題の解決のために尽力する所存である。



       

 2018年(平成30年)12月25日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎