「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に対し改めて反対し、廃案を求める会長声明


本日、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下「カジノ解禁推進法案」という。)が、衆議院の内閣委員会で、審議入りした。

カジノ解禁推進法案は、2013年12月に、国会に提出されたものの実質的な議論が行われないまま、2014年11月の衆議院解散に際し、一旦廃案となった後、2015年4月に再提出されたものの、1年半以上もの間全く審議されずに今日にいたっていたところであった。

当連合会は、2014年5月、暴力団対策上の問題、マネー・ローンダリング対策上の問題、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性及び青少年の健全育成への悪影響等を理由に、カジノ解禁推進法案の廃案を求める意見書を公表し、その後も、消費者団体等の各種団体に呼びかけて、カジノ解禁推進法案に反対する趣旨の団体署名を募りつつ、多数回にわたる集会、シンポジウム等を開催した。そこでは諸外国のカジノ事情の調査結果等を踏まえて、ギャンブル依存症の拡大への懸念はもちろんのこと、カジノ設置が決して期待されるような経済効果をもたらすものではなく、カジノを設置した自治体周辺の人口が減少した韓国の例や、IR型カジノの倒産が相次いでいる米国アトランティックシティの例などから、かえって地域経済への回復しがたいダメージを与える懸念が大きいといったことを明らかにしてきた。

この間、各種世論調査では、カジノ解禁に反対あるいは慎重との意見が賛成意見を圧倒する結果が示され、新聞各紙もカジノ解禁に疑問を呈する社説を掲げた。これまでカジノ解禁推進法案が審議されなかったのは、こうしたカジノ解禁を是としない大きな世論が示されていたからにほかならない。

このたび審議入りしたカジノ解禁推進法案は、カジノ解禁に伴う上記の問題点を解消するものにはなっておらず、人々の懸念に真摯に答える姿勢すらみえない。


よって、当連合会は、今回のカジノ解禁推進法案に改めて強く反対し、廃案を求める。

 

  2016年(平成28年)11月30日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋