マレーシア弁護士法改定法案に関する会長声明

当連合会は、マレーシア政府が弁護士法の改定を意図しており、マレーシア弁護士会は、それが同弁護士会の独立と自治をきわめて損なうものであるとして、強く反対しているとの情報を得た。その改定は、法務所轄大臣に、①弁護士会理事会に政府を代表する2名の会員を指名し、②弁護士会理事会及びその役職者の選挙行為に関してルールと規則を作る権限を与える条項を含むというものである。

1990年に第8回国連犯罪防止・刑事司法会議が採択した「弁護士の役割に関する基本原則」は、弁護士が、自治的な専門家団体を結成する権利を有し、また、そうした団体の執行機関は会員によって選出され、外部からの干渉なしにその職務を行うものとすることを定めている(同原則24項)。また、弁護士と弁護士会の独立が、法の支配の不可欠の一部であることは、共通に理解されているところである。この独立と自治に対しては、政府によるいかなる干渉も、許容されるべきではない。

よって当連合会は、現在のマレーシアの弁護士の独立を支持し、マレーシアにおける弁護士法改定の提案を深く懸念する。また、上記基本原則に照らし、弁護士の専門家団体の独立が保障されるべきであり、これに対する制約がなされることがないよう求めるものである。

 

  2016年(平成28年)9月30日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋