「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」の有効期限を延長する改正法の成立に当たっての会長声明

本年3月31日、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律」(以下「本特例法」という。)の有効期限である本年3月31日を3年間延長する法律改正案が参議院において全会一致で可決され、成立した。まずは、本特例法の有効期限延長に向けて尽力された各政党、国会議員の方々、その他の関係者の方々に敬意を表したい。


本特例法は、東日本大震災の被災者支援のため、資力で被災者を選別せず、また民事裁判に限定されない柔軟な法的支援事業の創設を内容とする立法を求める当連合会の取組等により、2012年(平成24年)3月23日に成立した。同法による震災法律援助事業として、2012年度(平成24年度)及び2013年度(平成25年度)の2年間で9万件を超える法律相談援助と約5000件の代理援助等が実施されてきたが、本特例法附則第3条第1項により、同法は施行の日から3年を経過する本年3月31日に効力を失うものとされていた。


しかし、東日本大震災の発生から4年以上を経過した現在においても、いまだ多くの被災者が避難生活を強いられ、被災地の復興は十分とは言い難い状況にあることから、今後も顕在化すると思われる様々な法的問題に対応するためには、被災者に対する法的援助を継続する必要がある。とりわけ、福島第一原子力発電所の事故は、放射能による多種多様で広範な被害をもたらし、今後、被害の全容が明らかになるに従い、賠償問題が法的紛争に発展する可能性が高い。


当連合会は、このような被災者及び被災地の状況に鑑み、2014年(平成26年)6月20日付けで本特例法の有効期限の延長を求める要望書を取りまとめ、その実現に向けて取組を行ってきたところであり、この要望に沿った今回の改正を歓迎するとともに、今後の被災地の復興促進及び被災者の生活再建に向けて、更なる法的支援の充実に万全を期す所存である。

 

 

2015年(平成27年)3月31日

        日本弁護士連合会

       会長 村 越   進