浪江町民等の集団申立案件にかかる東京電力による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案再拒否に関する会長声明

浪江町民15000人以上による集団申立案件については、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が、本年3月20日に提示されていた和解案の重要な部分について、事実上拒否する回答を行っていたことに対し、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)の担当パネルは、本年8月25日付けで、和解案提示理由補充書(以下「補充書」という。)を提示し、東京電力に対して、自らセンターの和解案を尊重する旨を誓約していることを改めて認識の上、和解案の真意を理解し、これを受諾するよう求めていた。


しかし、東京電力は、再度、本年9月17日付けで、和解案の重要な部分を拒否する前回同様の回答を行い、センターに和解仲介を申し立てていない被害者との公平性を欠く等の理由を述べた。


このように東京電力が集団申立てについて、センターに和解仲介を申し立てていない被害者との公平性を欠くとして和解案を拒否するのであれば、センターの存在意義は著しく毀損される。


当連合会は、東京電力に対して、再三にわたり、自ら策定した新・総合特別事業計画等において掲げた「和解仲介案の尊重」を遵守し、被害者に対して迅速な賠償を行うよう求め、また、政府に対しても、東京電力に対し強く指導を行うよう、要望してきた(本年6月27日付け「浪江町民等の集団申立てにかかる東京電力による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案拒否に関する会長声明」、同年8月20日付け「『東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見』に関する会長声明」、同年9月5日付け「浪江町民等の集団申立案件にかかる原子力損害賠償紛争解決センターの和解案提示理由補充書に関する会長声明」等)。


当連合会は、改めて、東京電力に対し、補充書の趣旨を真摯に受け止め、和解案を尊重し、和解案を受諾することを強く求めるとともに、政府に対しても、東京電力に対し、その旨、強く指導することを求める。

 

 


 2014年(平成26年)10月2日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越   進