特定秘密保護法案の衆議院での採決強行に対する会長声明

本日、特定秘密保護法案の採決が強行され、衆議院を通過した。

 

同法案が国民の知る権利を侵害する危険性を有しており、廃案にされるべきことは当連合会及び国民各層から意見表明がなされてきたところである。さらに、11月21日には、国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者からも、ジャーナリストや内部告発者を脅かす危険性があるとして、同法案への懸念が表明された。4党による修正案においてもその危険性は何ら減じられていない。

 

また、4党による修正案については提出されたばかりであり、ほとんど実質的な審議らしきものはまだなされていない。

 

11月25日に福島県で開かれた公聴会では、出席者全員が法案の内容に反対ないし懸念を示したのであるから、政府としてはそれらの懸念を払拭するためにも慎重審議を行うべきであった。

 

しかし、衆議院では、法案の骨格ともいうべき重罰主義及びプライバシー侵害性の高い適性評価制度について、根本的見直しに向けた議論がなされていない。「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)との整合性についても検討されておらず、十分な審議が行われないまま、採決が強行された。極めて拙速と言わなくてはならず、法案のもたらしかねない重大な影響に鑑みると到底是認できない。

 

国民主権を形骸化しかねない法案について、民意を軽視した形で採決を強行したことは、二重の意味で国民主権の基本原則に反すると言わなくてはならない。

 

当連合会は、同法案の拙速な採決について強く抗議するとともに、良識の府である参議院において十分な審議を尽くすよう要請するものである。

   

 

2013年(平成25年)11月26日

  日本弁護士連合会
  会長 山岸 憲司