米海軍兵による集団強姦致傷事件に抗議する会長談話

本年10月16日、沖縄本島中部で、米海軍兵2人による集団強姦致傷事件が発生した。被害女性の恐怖、怒り、絶望は察するに余りあるものである。当連合会は、この米兵による女性の尊厳を踏みにじり、深く癒えない心の傷を与える卑劣で悪質な性犯罪に対して、強く抗議する。



沖縄では、1995年の米兵による少女暴行事件以降も、米兵による女性の人権を蹂躙する凶悪性犯罪が後を絶たない。沖縄で米兵による犯罪が多発する背景には、日本全国の米軍専用基地の74%が沖縄に集中し、沖縄県民が米軍基地と隣り合わせで生活することを余儀なくされているという構造的問題がある。このような犯罪が明るみに出るたびに米国と日本政府は「綱紀粛正」や「再発防止」をうたうが、一向に改善されていないのが現状である。



当連合会は、日本政府及び米国政府に対し、女性に対する人権の蹂躙をはじめ、沖縄の米軍基地が引き起こす住民への多大な犠牲を直視し、沖縄の人々が一日も早く心安らかに平和な日々を送れるよう、米軍基地の可能な限り早期の整理縮小を実現するため、直ちに実効的な取組を行うよう強く求める。



同時に、当連合会は、日本政府及び米国政府に対し、基地使用や刑事手続などにおける日米地位協定の著しい不平等条項の抜本的見直しに直ちに取り組み、速やかに改正を実現することを強く求める。



なお、社会的に注目される性犯罪事件においては、事件の報道により被害者のプライバシー権、名誉権が侵害されるという、被害者が二次被害を受ける事態が過去において発生してきた。本事件においても、同様の事態が発生しないよう、各報道機関に対し、被害者の意思を尊重し、被害者のプライバシー権、名誉権に特に配慮した取材、報道を行うことを求める。
 

2012年(平成24年)11月2日

日本弁護士連合会
会長  山岸 憲司