平成24年司法試験最終合格発表に関する会長談話

本日、平成24年司法試験の最終合格者(2,102人)が発表された。


新しい法曹養成制度に関する議論が続く中で、志を貫き、合格された方々に敬意を表するとともに、司法修習で多くのことを吸収し、社会に役立つ法曹として成長されることを祈念する。


当連合会は、各界の叡智を集めて、社会の様々な場面で法曹が十分に役割を発揮できる領域の拡大、法曹養成制度の改革などに取り組んでいるところであるが、司法試験合格者数については、現在の法的需要を上回る急激な弁護士の増員ペースを緩和して漸増に改め、まずは合格者数を1,500人に減少してその動向を検証することを提言している。しかるに、本年の合格者数は、なおこれまでの急増ペースに沿うものであり遺憾であると言わざるをえず、政府が設置した法曹養成制度検討会議において、活動領域の拡大、法科大学院制度の改革、給費制復活を含む経済的負担の軽減などとともに、合格者数について議論が深まることを期待する。


これらの議論が実を結び、法曹への道を志す有為な若者が、経済的理由でその志を断念することのないような制度を実現させ、弁護士が社会において従前以上に幅広い役割を果たしていけるようにしたいと考える。


また、今年は、予備試験を経た合格者が58人誕生した。


予備試験は、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の中で、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための途を確保すべきであるとの趣旨から、法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的として設けられたものである。予備試験を経て今回最終合格した者の年齢、学歴、経歴などを踏まえ、予備試験が上記制度趣旨に沿ったものとなっているかどうかについて検証・分析がなされるべきであると考える。


当連合会は、今後の法曹養成制度のあり方、司法試験のあり方を総合的に検討する中で、これからの「法の支配」の担い手の育成、法曹の養成のあり方を追求していきたい。

 

2012年(平成24年)9月11日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司