竜巻等の被害に関し被災者生活再建支援法施行令の改正を求める会長声明

本年5月6日、茨城県及び栃木県等における竜巻を始め、全国各地で落雷、突風等の災害が発生した。内閣府によると、死者3人、重軽傷者59人の被害が発生し、住家被害については全壊89棟、半壊197棟、一部破損978棟に上っている(2012年6月13日現在)。



被災者の方々には、被災者生活再建支援法(以下「同法」という。)による支援が期待されるところ、茨城県つくば市では既に適用が決定された。ところが、栃木県の真岡市、益子町及び茂木町では、竜巻による大規模かつ深刻な住家被害が発生したにもかかわらず、同法の適用要件を満たさないとして支援金を支給しない事態が発生している。



これは、同法の支援対象を定めた被災者生活再建支援法施行令(以下「施行令」という。)が、自治体単位で適用を決めているところに原因がある。施行令第1条第2号が「自然災害により十以上の世帯の住宅が全壊する被害が発生した市町村」と定めているところ、全壊家屋が、真岡市6棟、益子町7棟、茂木町0棟であるため、支援の対象外となった。



しかし、同じ自然災害によって生じた被害であるのに、居住する行政区分によって適用の有無が異なるという結果は、一人ひとりの被災者の立場からすれば不条理といわざるを得ず、同法の被災者支援の目的に照らしても合理的とはいえない。むしろ、本件災害の状況に照らすと、現実の被害実態に的確に対応せず、行政区分の違いによる支援の格差を生み、不公平な結果を惹起することとなる。



当連合会は、2011年(平成23年)7月29日付け「被災者生活再建支援法改正及び運用改善に関する意見書」を公表し、その中で、施行令第1条を改正し、同法の適用対象地域を都道府県、市町村単位で指定せず、地域にかかわらず同一の災害で被害を受けた世帯等に支援を行うべきであると述べた。



自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者の生活再建を支援するという同法の目的を確実に実現するため、国は、施行令を速やかに改正し、本件災害についても、現行制度では救済を受けられない被災者に対し、適切な支援を行うことを求める。

 

2012年(平成24年)6月21日

日本弁護士連合会
会長  山岸 憲司