国民生活センターの国への移行に関する消費者担当大臣の会見に対する会長談話
本日、山岡賢次内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)は、閣議後の会見において、独立行政法人国民生活センターの在り方について、国への移行が妥当と判断する旨を表明した。
当連合会は、これまで国民生活センターの在り方について、その機能の柔軟性・機動性が損われることがないよう、国民生活センターの人事上・業務上の独立性の確保が不可欠であることを訴えてきた。さらに、消費者庁及び消費者委員会設置法(以下「設置法」という。)附則第3項に基づいて、消費者行政全体の強化の視点から幅広い議論を求めてきた。
本年12月6日の「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」の中間取りまとめでは、国民生活センターの在り方に関して、国への移行だけでなく、新たな法人制度への移行といわゆる「政府から独立した法人」への移行の三つの選択肢を示している。また、今回の試行の対象とした期間が短いことを指摘した上で、本取りまとめ以降も別途検討の場を設けて引き続き議論し、来夏までに結論を得るよう述べている。
今回の山岡大臣の判断は、こうした議論を踏まえることなく、①深刻な財政状況、②国民生活センターの機能を強化する必要性、③政府全体の独立行政法人改革の動向を踏まえれば、「政府から独立した法人」の考え方の実現を図ることは難しく、国への移行の中でその趣旨を活かすことが現実的であるとし、安易に国への移行以外の選択肢を否定するものであって、拙速であるといわざるを得ない。
国への移行が妥当とする政府の判断を見直し、今後、改めて国民生活センターの新たな法人制度への移行又は「政府から独立した法人」への移行との選択肢をも含めて、設置法附則第3項が「国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとする」と規定するように、消費者行政充実の観点からの議論が行われることを強く求める。
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児