電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案の本国会での成立を求める会長声明
政府は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(以下「本法案」という。)を本年3月11日付けで閣議決定し、4月5日に国会に上程し、現在、衆議院において審議が行われている。
また、菅首相は、7月13日、「原子力への依存度を段階的に引き下げ、原発のない社会を実現する」ことを表明した。
当連合会は、原子力発電を段階的に廃止し、再生可能エネルギーを急速に拡大して、地球温暖化防止を図るべきことを提言してきたが、これらの提言の内容は、今回の東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故を機に、国民的コンセンサスになりつつある。
当連合会は、今回の法案の提出を評価するとともに、政府として早急にエネルギー政策の抜本的見直しと、持続可能なエネルギー需給政策を広く国民参加の下で策定することを求めたい。
多様な再生可能エネルギーを飛躍的に拡大する方策は、東日本大震災及びこれに伴う原子力発電所事故による被災地域を再生可能エネルギーに関連する産業の拠点とし、雇用を創出しつつ、自然と共生した持続可能な地域としていく復興の要としても重要な制度であり、本法案の今国会での成立を期すべきである。
なお、同法案は、買取価格や期間を経済産業大臣に委ねており、また、審議会等の議論の経過では、家庭用太陽光発電については余剰電力のみの買取、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの買取価格が同一となる見通しであるが、再生可能エネルギーの種類と規模ごとに10年程度で投資回収ができるよう、法律で買取価格及び買取期間を定めてその全量を買い取るべきである。また、風力、地熱、小水力などの再生可能エネルギーについても積極的な活用を図っていくべきである。一方、再生可能エネルギー電力の送電網への優先接続と買取りの保証を明確にするとともに、平成32年度末までに法律の廃止を含めて検討すると規定する附則第6条は、削除すべきである。
これらの点を修正し、本法案を今国会で成立させるよう、全ての政党に強く要請する。
2011年(平成23年)7月29日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健 児