最高検察庁が公表した検察の組織改革についての会長声明

本日、最高検察庁(以下「最高検」という。)の検察改革推進室は、検察運営全般に関する参与会や、最高検監察指導部を新設するとともに、金融証券、特殊過失、法科学、知的障がい、国際及び組織マネジメントに関する各専門委員会を設置することを骨子とする組織改革を行うことを公表した。



本年3月31日に公表された検察の在り方検討会議提言「検察の再生に向けて」を受け、江田法務大臣が最高検等に対して発した「検察の再生に向けての取組」と題する文書中で、①違法・不適正行為の監察の実施及び検察運営全般に関して外部の有識者から意見・助言を得られる仕組みの構築を3か月以内を目途に実現すること、②検察官の人事・教育を含む検察改革を最高検のリーダーシップの下で力強く推進すること、③先端の専門的知識を組織的に集積・活用するため3か月以内を目途に分野別の専門委員会を設置することなどを指示していたが、今回、それが具体的に示されたことになる。



特に、注目されるのは、検察運営全般に関する参与会が弁護士を含む外部の有識者である参与から構成され、最高検監察指導部にも外部参与として弁護士が加わり、各専門委員会にも弁護士を含む外部専門家が参与として多数加わっている点である。弁護士を含む外部専門家等をこれらの組織に加えたことは、その透明性の確保と外部の知見の活用という点で高く評価できる。



検察の在り方検討会議提言「検察の再生に向けて」においては、「検察運営全般の実情について、外部の有識者らに報告するとともに、社会・経済情勢の変化、国民意識の変化等を踏まえた検察運営の在り方に関し、適切な意見・助言を得られるような仕組みを構築するべきである。」と述べられていた。当連合会としては、検察運営全般に関する参与会、最高検監察指導部及び各専門委員会の各活動状況を注視しながら、検察の在り方検討会議提言が目指した検察の組織改革とそのチェック体制が実現するかどうかを見守りたい。



併せて、今回の組織改革により、検察に求められている全過程を含む取調べの録音・録画の試行が、より広い範囲で、さらに強力に推進されることを強く希望するものである。



2011年(平成23年)7月8日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児