ハーグ条約の締結及び国内担保法制定に関する会長声明

本日、政府は閣議決定を行い、国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)の締結にむけた準備の方針を発表し、国内担保法(以下「担保法」という。)の制定準備に入ることを決定した。



当連合会は、本年2月18日に、「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)の締結に際し、とるべき措置についての意見書」を公表し、条約が「子どもの最善の利益」にかなうよう適切に実施・運用されることを確保するため必要となる事項を定めた担保法の制定等について提言を行った。



我が国の司法制度のもとで、担保法により、新たに子を外国に返還し、または外国から返還を求めるための手続・制度を作るに当たって、子の福祉・利益の観点から検討すべき事項は多岐に渡っている。さらには、上記意見書で述べたとおり、国民に対する3年程度の周知・準備期間を置くべきであり、また、市民的及び政治的権利に関する国際規約第一選択議定書や女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約選択議定書の個人通報制度の受入れも併せて検討されるべきである。



よって、担保法の制定及び条約の締結に当たっては、拙速を避け、子の福祉・利益の観点から必要な検討課題を可能な限り洗い出した上、各課題について、関係者・専門家を交えて十分な議論及び検討が行われるよう求めるものである。


2011年(平成23年)5月20日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児