東北地方太平洋沖地震にあたっての緊急会長談話

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このたびの東北地方太平洋沖地震で被災された皆様には、心からお見舞いを申し上げます。マグニチュード8.8という国内では観測史上最大の大地震であり、家屋の倒壊、火災、津波などにより、多数の死傷者が発生していると報じられています。政府の緊急災害対策本部を中心に、被災者の救助、生活支援、インフラの復旧などが速やかに進むことを期待します。


当連合会も、地震発生当日に緊急対策本部を立ち上げました。阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、平成19年新潟県中越沖地震など過去の震災における取組と同様、各地の弁護士会、さらには各自治体・日本司法支援センター(法テラス)など関係諸機関と連携し、主として被災者を対象とする無料法律相談を実施してその生活不安の除去に努めるとともに、被災者支援のための立法措置や行政による法令の適切な運用を働きかけていく所存です。


とりわけ、今回の震災の被災地は、いわゆる司法過疎地を多く含んでいます。当連合会としては、これまで設置を進めてきたひまわり基金公設事務所等を拠点とし、これを全国の会員が支える体制を確立して、これら司法過疎地の被災者の方々にも十分な法的支援が行きわたるよう努めます。


ところで、このたびの地震においては、福島第一原子力発電所、同第二原子力発電所について、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態が宣言されています。とりわけ、福島第一原子力発電所においては、核燃料棒が溶けている可能性があるとされ、原子炉格納容器の破損を防ぐため、意図的に放射性物質を外部に放出するための措置がとられました。政府は、現時点において、原子力発電所から半径10キロ圏の住民に対し避難指示を行っていますが、原子炉災害の危険性にかんがみれば、よりいっそうの情報開示など早期かつ的確な対応が求められます。


今回の未曾有の大惨事にあたり、政府、自治体をはじめとする関係機関の連携により、被害の拡大を食い止め、一刻も早い復旧・復興に道が開かれるよう強く希望するとともに、当連合会も支援活動に尽力する決意です。


2011年(平成23年)3月12日


日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児