犯罪被害者給付金不支給裁定取消し控訴審判決に対する会長談話

福岡高等裁判所は、2010年(平成22年)11月30日、父親を殺害された後、自らも約6年間監禁されていた被害女性が申請した犯罪被害者給付金の不支給裁定について、真にやむを得ない特別な事情等がある場合は、申請権は時効や除斥期間経過により消滅したということはできないとして、同裁定を取消した第一審の判決を支持し、福岡県の控訴を棄却する判決を言い渡した。


当連合会は、2006年11月22日に公表した「犯罪被害者等に対する経済的支援拡充に関する意見書」において、補償金の請求権に関する消滅時効については、できる限り期間を延長すべきであると提言し、その後、2008年には本件のような、やむを得ない理由がある場合を救済するための法改正がなされている。かかる改正法の趣旨に照らしても、給付金申請権の時効及び除斥期間の解釈により被害者救済を図った本判決は高く評価されるべきである。


よって、当連合会は、被害者に対する早期の経済的支援の観点から, 福岡県に対し、上告することなく速やかに支給手続に着手して被害者救済を図るよう強く要請する。


2010年(平成22年)12月10日


日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児