検察の在り方検討会議の設置に関する会長声明

昨日、大阪地方検察庁特別捜査部による捜査資料改ざん・隠ぺい事件に関し、改ざんを行った主任検事の元上司の特捜部長・副部長が犯人隠避罪で起訴された。


これを受け、本日、柳田法務大臣は、近く法務省に設置する「検察の在り方検討会議」(以下「本検討会議」という。)の座長に、前法務大臣を起用することを発表した。


当連合会は、本年10月5日に、冤罪防止を目的とする検察組織及びその捜査の在り方に関する第三者検証機関を設置するよう柳田法務大臣に申入れを行った。この申入れの中で述べたように、当連合会は、当該機関が、当連合会が推薦する弁護士を含む独立した第三者的立場の外部有識者、具体的には裁判員経験者や冤罪被害者等の市民、ジャーナリスト及び学識経験者等によって構成されるべきであると考える。また、かかる検証機関において、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)及び検察官手持ち証拠の全面開示をはじめとする冤罪防止策の導入について積極的且つ迅速な検討を行うべきことを求めたところである。


しかし、本日、本検討会議の座長に起用されると発表された前法務大臣は、今般の不当起訴事件の公判継続中に現職の法務大臣であったものであり、第三者性が確保されるかどうかについて重大な懸念がある。法務省が真に失われた検察への信頼を回復しようとする立場にあるかどうか、重大な疑問がある。


司法と検察に対する国民の信頼をもはや取り返しのつかないほどに傷つけた今般の不当起訴及び証拠改ざん事件が、単に検察官の個人的資質によるもの、或いは他の多くの冤罪事件とは無関係のものとして矮小化されるようなことがあってはならない。当連合会は、本検討会議が真に冤罪を根絶するための提言を行い、それらが立法その他の方法によって速やかに実現されるよう、全力を尽くすことをここに表明するものである。


2010年(平成22年)10月22日


日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児