裁判員裁判での無罪判決を受けて(日弁連コメント)

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2010年6月23日
日本弁護士連合会


 

昨日、千葉地方裁判所で開かれた裁判員裁判の公判で、覚せい剤取締法違反及び関税法違反の公訴事実について無罪判決が言い渡されました。

 

昨年5月21日の制度実施後、裁判員裁判での無罪判決としては、本年6月9日に、東京地方裁判所立川支部で窃盗、強盗致傷及び詐欺の公訴事実のうち詐欺について無罪が言い渡された事件がありましたが、公訴事実全部に無罪が言い渡されたのは昨日の千葉地方裁判所判決が初めてです。報道によると、判決では、税関検査で缶のエックス線検査を求められた際に被告が「いいですよ」と応じたことなどから「言い分が信用できないとはいえない」と指摘するなどしたうえで、「缶内に違法薬物が隠されていることを知っていたことが、常識に照らして間違いないとまでは認められない」と結論付けたとされています。

 

当連合会は、市民が刑事裁判の審理と評議に参加することによって、さまざまな知識及び経験をもつ市民の常識が裁判に反映され、無罪推定の原則等に忠実な「よりよい刑事裁判」が実現されるなどの観点から、裁判員制度の意義を訴えてきました。

 

今後も、裁判員制度のさらなる定着に向けて、これまでの運用状況を検証し、裁判員が参加しやすい環境を整えるための運用改善や制度改革の提案を続けていきます。また、裁判員裁判における弁護活動の一層の充実を期するため、会内での研修や経験交流への取組を充実させていく所存です。

 

以上