「布川事件」再審開始に関する会長声明
昨日、最高裁判所第二小法廷は、請求人櫻井昌司氏、同杉山卓男氏に係る再審請求事件、いわゆる「布川事件」について、検察官による特別抗告を棄却する決定を下した。
2008年(平成20年)7月14日、東京高等裁判所は、新旧全証拠を総合評価し、目撃者の供述の信用性と、請求人らの自白の信用性のいずれについても重大な疑問が生じており、確定判決の判断を維持することはできないとして、水戸地方裁判所土浦支部の再審開始決定を支持した。
今回の決定は、これをそのまま維持し、検察官の特別抗告における主張は、いずれも刑事訴訟法に定める抗告理由に当たらないとして、裁判官の全員一致で棄却したものである。
当連合会は、これを高く評価する。
足利事件に続き、本件は、虚偽自白を強いる取調べや証拠隠しなど違法捜査によるえん罪の存在を明らかにするものであり、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)の必要性を強く訴える事件である。
本件を支援してきた当連合会は、今後も、請求人らが早期に無罪判決を勝ち取るべく支援を続けるとともに、請求人らの虚偽自白を生み出し、不法な取調べの温床となっている代用監獄の廃止、取調べの可視化、検察官手持ち証拠の全面開示など、えん罪を防止するための制度改革を実現するべく全力を尽くす決意である。
2009年12月15日
日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠