裁判員裁判第1号事案の公判開始にあたって(会長談話)

本日、裁判員が参加する初めての公判が東京地方裁判所で始まりました。今後、全国各地で裁判員裁判の公判が始まることとなります。


市民の皆様が刑事裁判に直接参加することによって、無罪推定などの刑事裁判の原則に忠実な「よりよい刑事裁判」を実現するとの観点、主権者である国民が司法に参加することを通じて、司法の国民的基盤をより強固なものとするとの観点、また、さまざまな経験を持つ市民の多様な視点が持ち込まれて、裁判に市民の常識が反映されるとの観点から、当連合会は、司法への市民参加の意義を一貫して訴え続けてきました。今後、裁判員裁判が市民の皆様に理解され、定着し、支持されることによって、刑事裁判だけでなく、国や地方公共団体の活動についてもさらに市民に開かれた社会を築く契機となることを願っています。こうした意味から、本日は、日本の刑事裁判とともに、社会のあり方にとっても、歴史的意義のある一日であると考えています。


当連合会は、裁判員裁判がさらに市民の皆様の理解と支持を得られるよう、裁判員がより参加しやすい環境や制度のあり方を考え、「よりよい刑事裁判」の実現のために運用改善と制度改革の提案を続けていくとともに、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)などによって、被疑者・被告人の権利が十分保障された適正な刑事手続の実現を目指し、引き続き力を尽くしていく所存です。


2009年(平成21年)8月3日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠