死刑執行に関する会長声明
本日、大阪拘置所において2名、東京拘置所において1名、計3名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
これにより、昨年9月に森英介法務大臣が就任して以来3度目、本年では1月29日の執行に続き2度目の執行が行われたこととなる。
この間、我が国の死刑制度とその運用が抱える問題は、国際社会からの注目を集め続けてきた。世界では死刑制度の廃止が潮流となっているにもかかわらず、日本では死刑判決およびその執行数が増加しており、こうした状況に対して、国際社会から、極めて深刻な懸念が示されている。昨年10月30日には、国際人権(自由権)規約委員会によって、我が国の死刑制度を抜本的に見直すことを求める多くの勧告がなされたところである。
国内においては、今年5月に裁判員制度が実施され、一般市民も死刑という究極の量刑選択に直面することから、死刑をめぐってかつてないほど活発な議論が展開されつつある。とりわけ、足利事件において精度の低いDNA鑑定によって無実の人が無期懲役の確定判決を受けていたことが明らかとされ、同様の手法によって死刑判決を科され昨年10月28日に執行がなされた飯塚事件にも注目が集まっている。今こそ、上記勧告を真摯に受け止め、死刑制度とその運用について十分な資料と情報に基づいた広汎な議論を行い、死刑制度が抱える問題点を様々な角度から洗い出し、改革の方向性を探るべき時である。そして、そのための第一歩は、まず、死刑の執行を停止することである。
このような国内外の状況にあるところ、本日3名に対する死刑が執行されたことについて、当連合会は、強い遺憾の意を表明せざるを得ない。
当連合会は、改めて政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。
2009年7月28日
日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠