法曹有資格者の公務員登用促進に関する協議会取りまとめに関する日弁連コメント

2009年(平成21年)4月30日
日本弁護士連合会


このたび、政府は、「法曹有資格者の公務員登用促進に関する協議会」(国家公務員制度改革推進本部事務局、人事院、総務省人事恩給局、総務省自治行政局、文部科学省、法務省により構成)において、昨年11 月以降の協議・検討の結果を取りまとめて発表した(以下「本取りまとめ」という。)。


本取りまとめは、今般の司法制度改革において、法曹が社会のニーズに積極的に対応して公務を含む社会の様々な分野で幅広く活躍することが理念とされていることを踏まえ、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度のもとで誕生する法曹有資格者を、これまで以上に広く国家公務員や地方公務員として登用し活用することが期待されることを確認している。そして、その実現のために、政府が法科大学院協会や当連合会の取組みに対し必要に応じた協力をするとともに、関係省庁間で連携して必要な施策や検証を行っていくことを確認している。


本取りまとめでは、今後、法曹有資格者がスペシャリストとして特定任期付職員として活躍するだけでなく、いわばジェネラリストとして公務の中核を担っていくことが、適正な行政執行等の観点からも大いに期待されるとの認識のもと、省庁側において法曹有資格者を公務に誘致するための環境整備に取り組む必要性が強調されているほか、当連合会及び法科大学院に対しても、公務に興味を持つ人材の輩出や人材供給面での格段の取組みを求めている。また、地方自治体については、法曹有資格者の採用実績は乏しく、採用の関心もまだまだ低い状況にあることを踏まえ、まずは地方自治体と法曹有資格者の間の相互理解を深めることが重要であることが指摘されている。


当連合会は、かねてから、弁護士その他法曹有資格者を広く公務員として登用することが司法制度改革の理念である法の支配の拡充に資するとの基本認識に立って、法曹有資格者の公務員登用を推進してきたところであり、このたび、政府においても当連合会と基本認識を共通にした本取りまとめがなされたことを高く評価する。


当連合会としても、特定任期付職員への弁護士登用を今まで以上に推進することはもちろん、現行の国家公務員制度及び今後採用される新たな制度のもとで法曹有資格者をジェネラリストとして公務の中核において活用することについても積極的に推進し、あわせて登用形態の多様化を目指すとともに、本取りまとめで指摘された公務就任に向けた会員の意識喚起や人材供給態勢の整備等の諸取組みを、関係省庁、法科大学院等と継続的に協議・連携しながら検討・実施していく。また、地方自治体における法曹有資格者の活用についても、採用の実績・関心ともまだまだ低いという厳しい現状認識を踏まえ、活用に向け地方自治体の理解を得る方策を、各弁護士会とも連携して検討・実施していく。


政府においても、本取りまとめを踏まえ、必要な施策を具体化して実施するとともに、その実態を検証してさらなる推進につなげることを当連合会として要望する。また、具体的施策検討・実施・検証の過程で当連合会その他関係団体の意見を十分聴いていただくよう要望する。