国籍法改正に関する会長談話

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本日、国籍法の改正法が成立した。本改正は本年6月4日の国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決を受け、日本国籍を有する父又は母が生後認知した未成年者については父母の婚姻を要件とせず、届出による日本国籍の取得を認めるようにするものである。当連合会も、1996(平成8)年6月、父母の婚姻要件を定める現行国籍法の規定が憲法14条1項、国際人権自由権規約24条等、子どもの権利条約2条にも違反することを指摘し、政府に対して法改正を求めてきたところであり、今回の改正はこの主張に沿うものとして評価するものである。


しかし、今回の改正(附則3条)でも、2003(平成15)年1月1日の時点ですでに20歳になっていた子については救済されないこととされた。しかしながら、当連合会が既に主張しているとおり、本来は、このような子についても日本国籍の取得が認められるべきところである。


当連合会は政府に対して、改正法による救済対象となった子に漏れなく国籍取得が認められるよう十分な広報を行い、かつ戸籍窓口でも外国関係の資料の提出が困難な母については、代替的な証明手段を認めるなど柔軟な運用を徹底することや、救済対象からもれた子についての帰化や在留資格などへの配慮を積極的に行うことを求める。また、付帯決議で触れられた父子関係の確認については、平等原則を踏まえて検討することを求める。


さらに、今回の法改正により日本国籍を取得した子の外国人の母についての日本への入国および在留についても、上記最高裁判決の趣旨に基づいて子の利益に重点をおき、原則的にこれを認める運用をなすべきである。


2008年12月5日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠