市民の皆様へ(会長談話)~裁判員制度実施を半年後に控えて~
本日、最高裁判所から約29万5000人の方に、来年の裁判員候補者名簿に記載された旨の通知が発送されました。いよいよ、裁判員裁判の実施まで半年です。
「人を裁くのは難しい」「自信がない」とお感じの方もいらっしゃると思います。しかし、市民の皆様に専門的な法律知識は必要ありません。それぞれの知識と経験に基づいた新鮮な感覚で、裁判に参加されることが期待されています。有罪率99%の中で有罪慣れし、ともすれば被告人の弁解を疑いがちになる裁判官とは違う視点を持った皆様が、裁判員として参加することによって、これまでの問題の多かった日本の刑事裁判が大きく変わります。
戦前の一時期、日本でも陪審裁判が実施され、市民から選ばれた陪審員によるしっかりした議論が高い評価を得ていました。多くの国々でも、重大な刑事裁判に市民が直接参加する制度が定着しています。アメリカや韓国のアンケートでは、最初は多くの方が参加に消極的ですが、経験後には、90%以上の方が、経験してよかったと回答しています。
私たちは、この機会に、「見て、聞いて、分かる」裁判を実現するための研修など、今後とも裁判員制度成功のために全力をあげて取り組む決意をあらためて表明いたします。「疑わしきは被告人の利益に」という原則が生きる新しい刑事裁判を作るために、市民の皆様には積極的に参加していただきますようお願い申し上げます。
2008年11月28日
日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠