山口組系旧五菱会ヤミ金融事件の被害財産支給手続に関する会長談話

本日、東京地方検察庁は、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に基づき、スイス連邦から返還を受けた指定暴力団山口組系旧五菱会のヤミ金融事件の被害財産について、被害者への支給手続の開始を決定した。 


2003年(平成15年)12月にスイス連邦が預金口座を凍結してからこの手続開始まで4年7か月を要したが、スイス連邦から返還された総額29億円余の被害財産は、手続に要する費用を除き、そのすべてが被害者に返還される必要がある。


被害者は、本手続に基づく申請をすることにより、自ら被った被害額について、この29億円余を給付資金とする被害回復給付金の支給を求めることができる。検察官が捜査資料に基づいて住所、氏名を把握している3万人余の被害者に対してはこの手続開始と同時に個別に通知が送付されるが、実際の被害者の数は全国でこの2倍とも3倍ともいわれる。被害者が被害を受けたのは、2003年(平成15年)8月よりも前であって今から5年以上も前の出来事であることを考えると、通知を受けた被害者のみならず、通知を受けることのない被害者をも含めて、被害者が限られた支給申請期間内にこの手続に参加する機会を逸することのないよう、政府による広報が十分になされることが強く求められる。


また本手続では、中華人民共和国香港特別行政区及びアメリカ合衆国から被害財産の返還を受けた場合も給付資金に含まれることになるが、これらの資金はいまだ返還されていない。政府において、その返還に向けた関係国との協議を精力的に推進されることを求めるものである。


当連合会は、本手続に基づく支給申請を被害者が円滑に行えるよう、相談窓口の設置や相談対応を行うことを全国の弁護士会に要請しているところであり、全国の弁護士及び弁護士会とともに、旧五菱会のヤミ金融事件の被害者の支援に全力をあげて取り組む所存である。


2008年(平成20年)7月25日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠