「消費者行政推進会議取りまとめ」についての会長談話

本日、消費者行政推進会議は、最終報告書を取りまとめた。本報告書は、縦割り行政の弊害や、産業育成省庁の限界を踏まえ、消費者・生活者の視点に立った行政への転換をはかるため、消費者行政を統一的・一元的に推進するための強い権限を持った新組織として、消費者庁を来年度に発足させることとし、これを実効あらしめるために、地方消費者行政を飛躍的に充実させることを提言した。当連合会は、一貫して消費者被害の予防と救済、そしてまた消費者の権利の確立の立場から消費者庁の設置を要望してきたが、本報告書は、その実現に向けた大きな前進であり、高く評価できる。


本報告書は、消費者庁が自ら所管・執行すべき法律を明確にしたほか、所管庁に対する指示や勧告、縦割り・すき間行政に迅速に対応するための諸権限や新規立法の権限を持つ、司令塔としての役割を担うよう求めており、これらが実現されれば、消費者・生活者の視点にたった行政遂行が可能となるものと期待される。
政府は、本報告の内容を速やかに基本計画に盛り込み、消費者庁が来年度に発足し、着実にその機能を発揮することができるよう、消費者信用法等の横断的立法や被害救済のための新規立法はもとより、地方の消費者行政の拡充、消費者庁に消費者の意見が反映される仕組みを構築し、そのための予算、人員、組織の充実をはかるなど、緊急に必要な措置をとるべきである。


当連合会としても、消費者庁が担うべき責務や整備すべき法制度について、今後も積極的・具体的に提言し、消費者主権の確立と消費者被害の防止と救済のための実効性ある新組織の実現に向けて、全力をあげて取り組むことを表明する。


2008年(平成20年)6月13日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠