在外被爆者に関する被爆者援護法の改正に際しての会長談話

本日、被爆者援護法(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律)の改正法案が成立し、日本国外に在住する被爆者について、国外において被爆者健康手帳の交付申請を行うことが認められることとなった。


被爆後60年を過ぎて高齢化が進み、来日することに多くの困難を抱える在外被爆者にとって、種々の援護を受けるための条件となる被爆者健康手帳の交付申請手続きを海外から行うことができる必要性は極めて高く、当連合会も、その実現をかねてより求めてきたところである。


当連合会は、今回の改正を、すべての在外被爆者への援護を具体化するためのものとして高く評価する。


ただ、在外被爆者には証人の発見などの面で様々な困難が予想されることに鑑みれば、被爆事実の証明手段などについての政府の柔軟な対応が強く望まれるところである。また、これまで被爆者健康手帳の取得や健康管理手当の受給の機会を逸してきた在外被爆者に対する救済措置が別途講じられる必要がある。


今回の改正法案の附則には、在外被爆者への医療費の支給について各国の実情に合わせて必要な措置を講じることを検討することが規定されているが、当連合会もこの点をかねてより求めてきたところであり、高齢化した在外被爆者への十全な援護を早期に実現することを国に対し改めて求めるものである。


2008年(平成20年)6月11日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠