取調べの可視化(取調べの全過程の録画)を主な内容とする刑事訴訟法改正案に関する会長談話

2008年(平成20年)6月3日、参議院法務委員会は、取調べの可視化(取調べの全過程の録画)を主な内容とする刑事訴訟法改正案を可決した。


本法案は、検察官及び警察官による被疑者取調べの全過程の録画と、公判前整理手続における検察官保管証拠標目の一覧表の開示を義務付けるものであり、高く評価できるものである。本法案が参議院法務委員会で可決されたことは、当連合会がこれまで一貫して主張してきた取調べの可視化(取調べの全過程の録画)の実現に向けて、重要な一歩であり、画期的な意義を持つものとして歓迎したい。


取調べの可視化(取調べの全過程の録画)は、密室での取調べの弊害を取り除き、昨年明らかとなった鹿児島・志布志事件や富山・氷見事件に代表される冤罪事件の発生を防止するものである。また、取調べ状況をめぐる不毛な証拠調べや議論をなくすものであり、裁判の長期化を防ぎ、分かりやすい裁判を実現することに資する。その意味で、本法案の成立は、実施が1年後に迫った裁判員制度をより円滑に実施するためにも、極めて重要である。


当連合会は、本法案が参議院本会議において可決され、衆議院においても速やかに審議・可決され、改正法が成立することを切に望むものである。


2008年(平成20年)6月3日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠