2007年の弁護士の採用状況及び2008年に向けての対策についての日弁連コメント

2008年2月15日


日本弁護士連合会


  1. 2007年(現・新60期司法修習終了者)の採用状況 現・新60期司法修習終了者合計2,376名の進路は、本年1月28日現在、弁護士登録をした者2,111名、判事補任官118名、検事任官113名でした。この結果を見る限り、現・新60 期に関しては、弁護士の就職問題は例年とほとんど差異がない状況で終息したということができます。
    当連合会が2006年に行った弁護士求人アンケート(2006年8月23日結果発表)において、現・新60期については、アンケート時点で弁護士事務所入所希望者数より求人数の方が下回っている可能性が大きいとの分析結果が示されていました。当連合会は、この分析結果を受けて、2007年の弁護士就職問題に危機感を持って臨み、会員への弁護士採用の働きかけ、就職説明会等の開催、採用促進のためのさまざまな取組みを行ってきましたが、上記の結果は、これら諸施策及びこれに呼応した会員の努力が一定の成果を生んだものといえます。
  2. 2008年(現・新61期司法修習終了者)の就職問題について 当連合会は、2006年に引き続き、2007年8月~9月にも同様の弁護士求人アンケートを実施しました。ここにその結果を公表します。
    同アンケート結果によれば、2008年は2007年にも増して厳しい採用状況であることが懸念されます。決して2007年の結果に安心することなく、3.に述べる施策を含め、弁護士採用促進のための取組みを、弁護士業務基盤の拡大の努力とあわせて、継続して推進する所存です。
  3. 今後の対策 当連合会は、2006年6月に弁護士業務総合推進センターを設置し、弁護士業務基盤の拡大、弁護士採用問題への対応、弁護士過疎偏在問題の解消、弁護士情報提供システム(ひまわりサーチ)の立ち上げ、法的ニーズ・法曹の質の検証等の諸課題に鋭意取り組んできました。特に、2008年及びそれ以降の弁護士採用問題に関しては、これまで行ってきた諸施策を含め、以下のような対策を講じます。
    弁護士会内に対して:
    (1)2007年から各弁護士会に設けている就職問題担当者を中心として、各会の実情に応じた対応策を検討・実施することを要請する。特に、中小規模会においては、弁護士過疎偏在問題の解消及び2009年裁判員裁判・被疑者国選拡大に確実に対応すべきことを踏まえ、増員に向けた対策を講じることを要請する。
    (2)一人事務所の採用促進をはかるべく、引き続き弁護士複数化促進のためのノウハウ提供等の活動を行う。
    (3)求人側と求職側のマッチングの問題を克服するため、引き続き当連合会及び各弁護士会・弁護士会連合会レベルで就職説明会等を開催し、修習生への情報提供に努める。あわせて、当連合会において、法律事務所や企業・官公庁等の求人情報と司法修習生及び既登録弁護士の求職情報を効果的に相互に提供するシステムの構築を進める。

    弁護士会外に対して:
    (4)企業、官公庁、自治体等組織内弁護士の採用拡大に向けて、経済団体、諸官庁、自治体等に働きかけるとともに、組織内弁護士の採用及び活動を容易にする仕組みづくりを検討する。新規登録弁護士のみならず、経験弁護士の採用を促進することにより、総体としての弁護士採用の拡大を図る。
    あわせて、行政が担っている準司法的機関について、法曹の積極的かつ広範な活用を政府に要請する。
    (5)判検事任官者のさらなる増員を要請するとともに、弁護士任官を推進する。それにより、司法全体の容量の拡大を目指す。
    (6)さまざまな分野(遺言信託、福祉信託、内部統制、企業の社会的責任、中小企業の法務、自治体の監査及び債権回収業務等すでに着手しているものを含め)で社会の法的ニーズの喚起のための取組みを継続・展開する。
    以上に全力を挙げて取り組み、新規登録弁護士の増員に対応する一方、社会に存在する法的ニーズの検証と弁護士の質の検証を並行して行っていきます。

以上


アンケートの詳細につきましては→こちらをご覧下さい