自由民主党司法制度調査会の「緊急提言 準司法改革の成果と今後の指針」に対する日弁連コメント

2007年12月17日
日本弁護士連合会


自由民主党司法制度調査会は、本年12月14日、「緊急提言 準司法改革の成果と今後の指針」を取りまとめた。緊急提言は、自民党司法制度調査会の本年3月20日付けの提言「21世紀社会にふさわしい準司法手続の確立をめざして」に基づく政府の取り組みを検証し、今後の方向性を具体的に示すものである。
当連合会は、自民党司法制度調査会の一連の提言を評価し、これに基づく取り組みを注視してきたところであり、行政不服審査法の実質的改正に向けた取り組みなど、高く評価すべきものであるが、少なくとも次の2点についてさらなる取り組みを求める。


第1に、準司法手続をより公正かつ適正なものとし、手続の透明性と判断の合理性を確保するため、法曹の活用を図ることである。関係各庁の準司法手続の改革に向けた検討状況を見ても、この点に関する具体的な成果は必ずしも十分とはいえない。本年7月に総務省の行政不服審査制度検討会がとりまとめた行政不服審査法の改正に関する「最終報告」では、行政法審判官制度の創設の検討が必要であるとしているが、この点も視野に入れつつ法曹のさらなる活用が図られることを期待する。


第2に、2005年1月28日、自民党行政改革推進本部幹事会・司法制度調査会基本法制小委員会は本年3月の提言及び今回の緊急提言の前提となる「行政法制度改革における課題と検討組織について」をとりまとめているが、これに従い、行政法制度全体の抜本的改革を進めるための省庁横断的組織を内閣に設置することである。緊急提言では、内閣官房に設けられた「準司法手続の在り方に関する関係省庁等連絡会議」の格上げが提言されているが、準司法手続のみならず行政法制度全体の改革に向けて、2005年1月28日付けのとりまとめを踏まえた体制の整備が必要である。


準司法手続の改革は多数の課題を有する行政法制度の改革の第一歩に過ぎない。政府が今回の緊急提言を踏まえて真摯な取り組みを開始するとともに、2004年改正の行政事件訴訟法の附則に従い、施行後5年の見直し作業を速やかに開始し、行政立法・行政計画に対する行政訴訟制度の創設、行政裁量に対する統制、団体訴訟の導入等の積み残し課題の検討に着手することを求める。


以上