経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会の報告書に対する会長声明

経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会において2007年11月29日付で割賦販売法改正についての報告書が取りまとめられた。


当連合会では、クレジットが消費者にとって安心して利用できるものになるよう割賦販売法の改正を求め、意見書の提出や請願署名活動等に取り組んできた。


今回の報告書は、割賦要件の見直し、指定商品・指定役務制の見直し、契約書型クレジットについての登録制及び行政規制の導入のほか、当連合会が今回の法改正において特に重要な項目として位置付けてきた過失を要件としない既払金返還責任(いわゆる共同責任)規定及び実効的な過剰与信規制を一部採用するものであるとともに、過剰与信規制については、特定商取引法において導入が予定されている過量販売取消権にクレジット業者の既払金返還責任を認める方向で検討することが提案された。これらは、消費者の立場に立った極めて画期的なものであると評価できる。


しかし、適正与信義務並びに既払金返還責任規定については、その対象範囲を特定商取引法適用対象取引(通信販売を除く)に限ったうえ、債務不履行型のクレジット被害への適用がないなど、クレジット被害の救済・根絶の観点からは未だ不十分な面があると言わざるを得ない。


さらに過剰与信防止策を実効的なものとするためには、具体的にいかなる場合に過剰与信と判断されるのかについて、総負債額が年収の3分の1を超えているか否かといった具体的な数値の目安を導入するべきである。


よって当連合会は、今回の割賦販売法の改正の具体化に当たって、以下の点を強く求めるものである。


  1. 悪質商法を助長するクレジットを防止する観点から、適正与信義務及び既払金返還責任規定を、店舗取引・通信販売を含む契約書型クレジット全体に、また債務不履行型被害を含めて、売買契約が無効・取消・解除となる場合に幅広く適用できるように規定すること。
  2. 過量販売取消権について、クレジット業者の過失を要件としない既払金返還責任を認める規定とすること。
  3. 過剰与信防止の判断については、クレジット契約に関して上記のとおり年収等の具体的な数値の目安を盛り込んだ実効的な過剰与信基準を策定すること。

2007年(平成19年)11月29日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛