犯罪による収益の移転防止に関する法律案についての会長声明

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政府は、本日の閣議で、今通常国会に「犯罪による収益の移転防止に関する法律案」を提出することを決定した。同法案は、警察庁の当初案においては、弁護士に対して、依頼者に密かに疑わしい取引の届出を義務付ける条項を含んでいたが、法案提出までの間に当該条項は削除された。


当連合会は、かねてから、弁護士に対して疑わしい取引の届出を義務付けるかかる立法については、弁護士制度の根幹をなす弁護士と依頼者との信頼関係を損なうものであるとして強く反対してきた。このたび同法案が疑わしい取引の届出義務について弁護士等を除外したことは、当連合会のこれまでの主張に沿うものであって、当連合会の主張が理解されたものとして、高く評価するものである。当連合会は、将来とも、弁護士制度の根幹を揺るがしかねない、いわば弁護士による依頼者密告制度ともいうべき制度が立法化されることのないよう、見守って行く必要がある。


同法案は、顧客の本人確認及び取引記録等の作成・保存の措置を当連合会の会則で定めることとしているが、当連合会においては、既にそれに対応するため、本年3月1日に開催する臨時総会において、「依頼者の身元確認及び記録保存等に関する規程」を議案として予定しており、同規程案は、同法案に定める内容を十分に満たす内容となっている。


弁護士がマネー・ロンダリングにいささかも加担することがあってはならないことは当然であり、当連合会においては、今後もその趣旨を会員に周知徹底し、研修にも積極的に取り組んでいく所存である。


2007年(平成19年)2月13日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛