法令外国語訳・平成21年度以降の推進体制の決定に対する会長談話

一連の司法制度改革の残された課題として、日本弁護士連合会が政府による推進を求めてきた日本法令の外国語訳整備に関し、政府内の平成21年度以降の継続的体制が法務省に置かれることが決定された。


政府によるこの取組みは緒に就いたばかりで、その成果はまだ広く国民が実感できるところとなっていない。わが国の司法制度が、国際的に誇れるものとして内外の司法界・経済界等に評価され、世界中で広く用いられるようになるためには、この日本法令の外国語訳整備は、第一歩にしてかつ試金石となる重要なインフラ整備である。


今般の新たな継続的体制構築にあたり、当連合会は特に下記の事項の実現が必要と考える。政府においては、この取組みの重要性を改めて再確認すると共に、新たな体制の下で、これらの事項を実現されることを望むものである。



  1. これまでの翻訳の取組みを今一度見直し、これをさらに充実させ、政府の責任で、本格的かつ一貫性のある情報発信を行うこと。
  2. 日本法令の外国語訳整備のあり方について、国内外の利用者の意見を十分に反映できるよう、有識者を含めた検討体制を立ち上げ、今後の中長期的な戦略を立てた上で、本格的な推進を図ること。
  3. 翻訳対象の範囲拡大、翻訳の品質向上、法令翻訳辞書の改良と補充はもとより、翻訳人材の育成への取組みや、将来的には国際的ネットワークの構築等を展望すること。
  4. 継続的体制が置かれる法務省の人員はもとより、専門性を有する学者・弁護士等有識者を含む専門家スタッフを十分に確保して恒常的な体制を作るとともに、それを支えるために必要十分な事務局体制と財政的手当てを講ずること。

2006年(平成18年)12月19日


日本弁護士連合会
会長 平山 正剛