教育基本法案の与党による単独採決に対する会長談話
本日、教育基本法案が与党の単独採決により可決され参議院に送付された。
しかし、なぜいま教育基本法を改正しなければならないのか、その改正によって教育がどのようによくなるのか、改正の必要性を根拠づける理由は、同特別委員会での審議では、未だ明らかになっていない。
当連合会は、政府案は、現行法10条の国家等による教育に対する不当な支配を禁ずる内容を実質的に改変するものであり、教育行政による教育振興基本計画の策定等を梃子(てこ)とした教育内容への不当な介入を強めることになるとの懸念を表明しているが、その懸念も未だ払拭されていない。
教育が人格の完成を目的とする営みであることに照らせば、その基本理念を定め立憲主義的性格を有する教育基本法の改正は、その時々の政治的多数派の意思で左右されてはならない。教育は国家百年の計であり、国民が十分に納得する内容を、適正な手続を経て行うものでなければならない。
現段階では、十分かつ慎重な調査と審議が尽くされたとは言えず、このような段階での与党単独採決は極めて残念である。
この上は、参議院において、原点に還って、良識の府にふさわしく、教育基本法の理念を尊重し、改正の必要性や法案の有する問題点について、国民的基盤に立った審議を更に十分に尽くすことを強く求めるとともに、現在提案されている政府案の内容でこのまま法改正をすることには反対であることを改めて表明するものである。
2006年(平成18年)11月16日
日本弁護士連合会
会長 平山 正剛