未決拘禁法成立にあたっての日弁連コメント
2006年6月2日
日本弁護士連合会
「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」(未決拘禁法。以下「新法」という。)が本日,成立した。
新法では,留置施設視察委員会設置が定められ,拘置所における弁護人の夜間・休日接見への道も開かれた。法案には明記されなかったが,弁護人との電話・ファックスによる外部交通も実施されることが予定されている。死刑確定者の処遇については,「心情の安定」を理由とする外部交通の相手方の制限が取り払われる。
しかしながら,新法は,さしあたり「今回」の法整備に際して,いわゆる代用監獄の存続を前提とした「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」の提言を受けたものであり,代用監獄問題の解決を先送りした内容となっている。被疑者の身体拘束を捜査に利用する代用監獄制度は,捜査と拘禁の分離を求める国際人権基準に違反し,国内外から厳しい批判に晒されてきており,確実に廃止されなければならない。新法成立にあたって,衆参両院の法務委員会附帯決議において,代用監獄に収容する例を漸減することの「実現に向けて,関係当局は更なる努力を怠らないこと」とされたが,これを文言だけに終わらせることとしてはならない。
日弁連は,5月26日の定期総会において,「引き続き未決拘禁制度の抜本的改革と代用監獄の廃止を求め,刑事司法の総合的改革に取り組む決議」を採択し,代用監獄制度の廃止とともに,未決拘禁制度の抜本的改革を含む刑事司法手続の総合的改革に取り組む決意を表明した。われわれは,新法成立後も,たゆむことなく代用監獄制度の廃止に向けての取組みをすすめていく所存である。
以上