日本司法支援センター設立に当たっての会長談話
本日、総合法律支援法に基づき日本司法支援センターが設立されました。
このセンターは、「法の支配」を社会の隅々まで及ぼし、自由で公正な社会を形成することを目的として、国民の司法へのアクセスを改善するために設立されたものであり、我が国として初めての取り組みであります。
立法段階、そして今日に至る設立準備に当たり、重要かつ多岐にわたる課題の克服に取り組んでこられた多くの関係者のご尽力に敬意を表するものです。
言うまでもなく、日本司法支援センターが、その使命を全うするためには、その業務全般にわたって適正かつ合理的な運営がなされることが不可欠であり、また全国において法的サービスの担い手が十分に確保されなければなりません。
当連合会は、今日まで、とりわけ弁護活動の独立性の確保と充実したサービス提供を目指して、その制度設計に積極的に関わるとともに、多くの提案を行ってきました。今後も、適正かつ合理的な業務運営が確保されるよう、積極的に取り組んでいく所存です。
また、民事・刑事全般にわたる法的サービスの担い手の提供は、当連合会の重要な責務であります。とりわけ被疑者国選弁護については、初めての実施であり、すでに全国で準備が進められていますが、引き続き万全の態勢確立に取り組みます。さらに、今後顕在化することが予測される民事分野でのニーズに対応する態勢の整備にもあわせて取り組みます。
本年10月に予定されている業務開始に向けては、さらに様々な課題が想定されます。当連合会は、今日まで、法律扶助制度の抜本的改革、被疑者国選弁護制度の実現、弁護士過疎・偏在の解消など、全会をあげて「市民のための司法」の確立を目指す司法制度改革に取り組んできました。日本司法支援センターの設立は、司法制度改革がいよいよ実行段階に入ったことを示す大きな歴史の節目であり、当連合会としては、その責務を今後とも十全に果たすことをここに改めて確認するものであります。
政府におかれては、このセンターが国民の期待に応えて十分なサービス提供を行い得るよう、その裏付けとなる財政的措置について、今後とも特段の配慮を求めるものであります。
2006年(平成18年)4月10日
日本弁護士連合会
会長 平山 正剛