旧統治下における「朝鮮」・「台湾」ハンセン病補償判決にあたっての会長談話

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本日、東京地裁において、日本統治下における「朝鮮」、「台湾」において当時の日本政府が設置したハンセン病療養所に入所していた方々が、2001年に制定されたいわゆるハンセン病補償法に基づき補償金を請求したところ、国が不支給決定したことに対し、その処分の取り消しを求めて提起した訴訟において、不支給決定を是認する旨と不支給決定を取消す旨の結論の異なる2つの判決が下された。


ハンセン病補償法は、ハンセン病の患者であった方々に対する差別と偏見によるいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏を確保することを目的に制定されたものである。日本統治下の「朝鮮」、「台湾」の療養所に入所していた方については、日本本土の療養所に入所していた方と同じくハンセン病の患者であったことによる不当な差別と偏見に晒されたことに加え、植民地支配による被抑圧的な取扱いを受けていたものであり、その救済の必要性は高い。このような二重の人権侵害があったことについては、本年3月にまとめられたハンセン病問題に関する検証会議の報告書でも指摘されている。


ハンセン病療養所の入所者の方々は、いずれも高齢となっており、速やかな解決が図られるべきである。当連合会は政府に対し、入所者の方々にこれ以上心身の苦痛を与えぬよう、判決の確定を待たず、すみやかにすべての被害者を救済する施策を実施することを求める。


2005年(平成17年)10月25日


日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛