死刑執行に関する会長声明

当連合会は、死刑制度の存廃について国民的議論が尽くされるまで死刑執行を差し控えるよう求めてきたところであるが、本日、名古屋及び福岡で死刑確定者3名の死刑執行がなされた旨の発表に接した。


死刑については、国連総会において死刑廃止条約(1989年12月15日)が採択され、1997年及び1998年には、国連人権委員会において「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対し「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけもなされている。


また日本政府に対しては、死刑廃止条約の批准と死刑確定者など被拘禁者の処遇改善について国際人権〈自由権〉規約委員会による勧告が二度(1993年11月及び1998年11月)にわたってなされている。


当連合会も1997年11月、内閣総理大臣及び法務大臣に対して、国際人権〈自由権〉規約を遵守し死刑に直面する者に対する権利保障のための対策をすみやかに講じるよう要望した。


本日、再び死刑が執行されたことは誠に遺憾であり、当連合会は、以上の国際的趨勢も考慮しつつ、死刑の執行は差し控えるよう、あらためて強く求めるものである。


2000年(平成12年)11月30日


日本弁護士連合会
会長 久保井 一匡