情報公開法成立に関する会長談話
情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)が可決・成立した。
情報公開法は、国民主権・民主主義の基礎であり、本法の成立にむけて長い間運動を続けてこられた諸団体をはじめ、政党、各行政省庁等関係各位の努力に敬意を表すると同時に、本法が成立したことを国民とともに喜びたい。
しかしながら、成立した情報公開法は、当連合会が従来より求めてきた「知る権利」を法文上に明記すること、非公開事由を限定・明確化すること、原告住所地を裁判管轄とすることなどが入れられず、必ずしも十全なものとはいえない。
一方、裁判管轄については、高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴訟を提起することができるとし、附則に四年後を目途とする見直しの際に管轄のあり方を検討するとしたこと、国会での重要論点となった請求手数料については、法16条2項により、できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならないとしたことなどは評価すべきものと考える。
いうまでもなく情報公開制度は、国民の「知る権利」を実質的に保障し、国民のための開かれた政治を実現するために不可欠であり、行政情報は公開を原則として、いたずらに非開示に傾くことのないよう適切に運用されなければならない。また、請求に要する費用を低廉なものにするなど、情報公開法を実効的な法として機能させることが極めて重要である。
今後、検討すべき課題は、附則、附帯決議に盛り込まれているところであり、当連合会は、定められる手数料、文書管理についての政令を検討すると同時に、施行後も、法を積極的に利用するなかで国民とともに法の見直しに向けてさらに活動を続ける決意である。
法の施行は、二年を超えない範囲内で政令で定めるとされているが、行政機関においては、この法の制定を機として、国民に情報の開示、公開を一層進めることを期待する。
1999年(平成11年)5月7日
日本弁護士連合会
会長 小堀 樹