「外国人登録法の一部を改正する法律案」及び「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」に関する会長声明

4月14日、参議院本会議において、政府が今国会に上程した「外国人登録法の一部を改正する法律案」(以下、「外国人登録法改正案」という。)及び「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」(以下、「入管法改正案」という。)の趣旨説明及び質疑が行われた。


外国人登録法改正案には、非人道的制度として長い間当連合会がその撤廃を求めていた、非永住者に対する指紋押捺制度の廃止を含むものであり、この点の改正は高く評価することができる。しかしながら、外国人登録証明書の常時携帯義務違反についての刑事罰の規定はそのまま残している。永住外国人に対し、登録証明書の「常時」携帯を強制することは日常生活にあまりに過大な負担を課するものであり、さらにその義務違反を刑事罰をもって強制することは極めて問題である。国際人権(自由権)規約委員会は、1993年の第3回日本政府報告書の審査及び1998年の第4回日本政府報告書の審査において、外国人登録証を常時携帯していない永住外国人を刑罰の対象とし、刑事制裁を課している外国人登録法は国際人権(自由権)規約26条に適合しない、と繰り返し指摘しているところである。したがって、同改正案における登録証明書の常時携帯義務違反に対する刑事罰の規定は、すみやかに削除されるべきである。


また、入管法改正案の、本邦からの退去を強制された者に係る上陸拒否期間を「1年」から「5年」に伸長する、とする改正は不当である。なぜならば、例えば、日本人の配偶者が在留期間を超過したため退去強制された場合においても、その後5年にわたって日本に入国できないこととなるのであって、あきらかに酷にすぎる場合がある。退去強制についてはさまざまなケースがありうるところ、これを一律に5年間再度の入国を禁止することは妥当ではない。したがって当連合会は、上記の退去強制された者に係る上陸拒否期間を5年に伸長すべきではないと考える。


1999年(平成11年)4月16日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹