死刑執行に関する会長声明

法務省は、本日、死刑確定者3名に対し刑を執行した旨発表した。


当連合会は、これまで死刑制度の存廃について国民的議論が尽くされるまで死刑執行を差し控えるべきことを再三にわたり求めてきた。


当連合会が何度も指摘したとおり、死刑については国連総会において死刑廃止条約(1989年12月15日)が採択され、死刑確定者の処遇問題についても国連経済社会理事会による「死刑に直面している者の権利の保護の保障の履行に関する決議」(1989年5月24日)が日本を含む国連総会出席加盟国の全会一致で承認されている。さらに、国連人権委員会において「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対しては「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼び掛けがなされている。


昨年11月6日には、国際人権(自由権)規約委員会から政府に対し、死刑を法定刑とする犯罪を減少させるとともに、死刑確定者の処遇が規約に反するとしてその改善を求める勧告がなされているし、当連合会もこの勧告に従った対策を講じるよう政府に強く求めた。


しかし、今般、死刑が再び執行されたことは、誠に遺憾であり、当連合会は重ねて今後の死刑の執行を差し控えるべきことを強く求めるものである。


1999年(平成11年)9月10日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹