司法制度改革審議会設置法成立にあたって(日弁連会長談話)

本日、司法制度改革審議会設置法案が参議院において可決・成立し、今後2年間にわたって司法制度の改革をめぐる議論が国民的見地から行われることになった。


日本国憲法の施行により、我が国の司法制度が一新されて以来50年が経過したが、我が国司法の現状をみると、司法が抱える課題は多い。基本的人権の保障や立法・行政に対する適正なチェックが不十分なだけでなく、複雑化する紛争の解決についても司法が十分な社会的機能を果たしていないとの指摘がなされている。


当連合会は、このような司法の現状を改革するため、1990年以降3度にわたり司法改革に関する宣言を行い、市民に身近で利用しやすい納得できる司法を実現するために努力を重ねてきた。 全国各地に法律相談センターを設けて、市民がいつでもどこでも法律相談を受けられるようにしたり、捜査機関に逮捕された人が不当な取り扱いを受けないように毎日待機して出動する当番弁護士制度を実施してきたのはその一例である。


このたび政府自らが、内閣に司法制度改革審議会を設置するに至ったのは、司法制度改革実現のため長年にわたり着実な取り組みを進めてきた当連合会の活動の成果ともいうことができ、国民主権の下における司法の改革が広く国民各層の間における議論を踏まえて実現されようとすることに格別の意義を認めるものである。


当連合会は昨年11月、我が国の司法が国民の総意に基づいて改革されるよう、国民とともに努力する決意であることを宣言した『司法改革ビジョン』を発表した。司法制度改革審議会での審議にあたっては、司法改革の担い手が国民自身であることを常に念頭におき、より良い司法の実現のため全力を尽くす所存である。併せて、司法改革をめぐる論議が審議会内部だけに止まることなく、広く国民各層の間で活発に展開されることを強く期待するものである。


1999年(平成11年)6月2日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹