「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」についての会長談話
本日、内閣は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」の国会提出を決定し、同法律案は今国会で審議されることになった。
情報公開法の制定は、当連合会が永年に亘り求めてきたところであり、ようやく、その機に至ったことは誠に喜ばしいことである。
しかし、今回の政府案は、行政情報の公開を実効的に保障する上では不十分な点が多い。
当連合会は、「知る権利」を目的規定に明記すること、特殊法人を対象機関とすること、公開を原則とし行政の裁量による非公開を許さないため非公開事由を最小限に限定すること、請求者の住所地にも裁判管轄を認めることなどは、情報公開法を実効あらしめるために不可欠であると考えており、この趣旨に添った情報公開法の制定がなされるべきと考える。
政府案の策定にあたり与党三党間で、特殊法人を対象機関とする法律案を2年以内に国会提出する旨附則に明記すること、土地管轄その他の訴訟制度上の課題について地方分権の推進と相俟って積極的に検討を行う等の合意がされたことは一歩前進と評価しうるものであるが、この合意を具体的に実現するほか真に民主的な情報公開法にすべく、なお一層の改善努力を求めるものである。
本来、行政機関に対して、その保有する情報の公開を義務づけ、国民による行政の監視・参加に資することを目的とする情報公開法は、国民を代表する国会議員により発議、提案され、その審議を経て制定されるべきものである。
したがって、今国会においては、政府案にとらわれず、国民への情報公開の重要性を踏まえて十分に審議し、国民のための、国民が利用しやすい制度を保障する実効ある情報公開法が制定されることを強く望むものである。
当連合会は、これまでの研究と運動の成果を踏まえ、より良い情報公開法が制定されることを目指して、国会の内外において、全力を尽くすものである。
1998年(平成10年)3月27日
日本弁護士連合会
会長 鬼追明夫